檪野寺・木造地蔵菩薩坐像

11.8cm
文治三年(一一八九)の銘記をもつ本像は、もと檪野寺の塔頭寛沢寺の本尊であったとされている漆箔像で、形姿は円頂で通肩の衲衣をつけて、腹帯を結び(腹帯地蔵として信仰者が多い)左手を膝上において宝珠を持ち、右手は屈臂して掌を前にたて錫状を執って左足を上にして結跏趺坐する。構造は頭体を通じて前面一材、背面頭部は耳後で躰部は肩より竪に矧ぎそれぞれ内を刳る。両肩は裾までを含めて各竪一材矧ぎで、膝前は横二材矧ぎとなる。左手は前膊部袖を矧付けて手首を差し込み、右手は前膊半ば及び手首を矧いでいる。光背は造像時のもので、体内に次の墨書銘がある。
    勧進上人蓮坐
 右勧数千人之施主為現世安穏後生菩提造立供養也 右敬白
   文治三年丁未十月十五日壬午
            供養之
 聖人蓮坐 敬白