檪野寺・木造毘沙門天立像

163.0cm
 寺伝によると延暦二十一年鈴鹿の夷族討伐のため、征夷大将軍坂上田村麻呂がこの地に来り檪野観音の加護によって賊を平定した報恩のため、大同元年(八○六)自ら等身大の尊像を彫刻し、本尊のかたわらに安置したといわれている。
 本像は仏教世界の護法施福と、本尊を守護するため、甲冑で身をかためた武将姿の立像である。左手に宝塔を持ち、右手に宝剣をとって法衣の左右両袂を縛り、右足を少し遊ばせて顔面を斜左に回して一点を見つめる忿怒の形相は凄まじく、仏法を守護する四天王にふさわしい雄気無比の像である。