檪野寺・木造聖観音立像
101.8cm

 本像は、頭体を通じて一材より彫成し、内刳りはない。天冠台を刻み出して髻を結び、右手を垂下させ左手を屈臂させているが、手先は失われている。天衣がw字にかかるには全国的にもめずらしい。更に注目されるのは、表面にノミ目を残す鉈彫像であることである。鉈彫像は関東以北にみる様式化された像が多く、また、足先は共木から刻み出すが、形を彫るだけで完全な足とはしていないことなど、鉈彫か未完成品かといった問題を考える上でも重要な像である。